VOCガス災害
VOCガスの法規制について
平成16年5月に大気汚染防止法が改正されました。その後平成18年4月1日から施行され、揮発性有機化合物(VOC)の排出規制がされました。この法改正では、「法規制」と「自主的取組」の双方を適切に組み合わせて、VOCガス排出量を効果的に削減することとされています。
法規制 |
対象施設 | VOC排出量が多いと推定される6施設類型のうち、裾切り基準値以上の大規模施設 |
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排出基準 | 排出口における濃度規制値(炭素換算濃度〔ppmC〕による) | |
事業者の義務 | 既存施設の使用または新設施設の設置に関する届出、年1回以上の測定、排出基準の遵守 | |
自主的取組 |
対象施設 | 法による施設類型や規模の指定はしない。業界団体が策定する自主行動計画への企業の自主的な参加等、実情に応じ適切な対策を講じる |
排出削減目標 | 業界団体等が策定する自主行動計画にて目標を設定 |
法規制対象となるVOCガス排出施設及び排出基準
VOC排出施設 | 規模要件 | 排出基準 |
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塗装施設(吹付塗装に限る ) |
排風機の排風能力が |
①自動車の製造用に供するもの 既設700ppmC/新設400ppmC ②その他のもの700ppmC |
揮発性有機化合物を溶剤として使用する化学製品の製造木材・木製品用に供する乾燥施設 |
送風機の送風能力が |
600ppmC |
塗装用に供する乾燥施設(吹付塗装及び電着塗装に係るものを除く ) |
送風機の送風能力が |
①木材・木製品の製造用に供するもの1,000ppmC ②その他のもの 600ppmC |
印刷回路用銅張積層板、粘着テープ・粘着シートはく離紙又は包装材料 合成樹脂を積層するものに限る )の製造に係る接着用に供する乾燥施設 | 送風機の送風能力が 5,000m /時以上のもの |
1,400ppmC |
接着の用に供する乾燥施設(前項に掲げるもの及び木材・木製品(家具を含む)の製造用に供するものを除く ) | 送風機の送風能力が 15,000m /時以上のもの |
1,400ppmC |
印刷の用に供する乾燥施設(オフセット輪転印刷に係るものに限る ) | 送風機の送風能力が 7,000m /時以上のもの |
400ppmC |
印刷の用に供する乾燥施設(グラビア印刷に係るものに限る ) | 送風機の送風能力が 27,000m /時以上のもの |
700ppmC |
工業製品の洗浄施設 (乾燥施設を含む。) | 洗浄剤が空気に接する面の 面積が5㎡以上のもの |
400ppmC |
ガソリン、原油、ナフサその他の温度37.8度において蒸気圧が20キロパスカルを超える揮発性有機化合物の貯蔵タンク(密閉式及び浮屋根式(内部浮屋根式を含む )のものを除く ) | 1,000kl以上のもの (ただし、既設の貯蔵タンクは、容量が 2,000kl以上のものについて排出基準を適用する ) |
60,000ppmC |
※ 「ppmC」とは、排出濃度を示す単位で、炭素換算の容量比百万分率である。
VOCガス災害の予防について
VOCの取扱量の低減対策
- VOC製品の取扱量を減らす。
- 低VOC塗料・低VOCインキ・低VOC接着剤へ切り替える。
工程内対策
- VOC発生箇所の数・面積を減らす。
- 発生箇所に蓋をする、開口部の開放頻度を減らす。
エンドオブパイプ対策
- VOCが排出口・建屋から大気中に放出されるのを防ぐ。
- 吸着装置・燃焼装置などの局所排気設備の見直す。
リスクアセスメントとしてのVOC対策
最近の社会情勢の変化や労働災害の動向に応じて、労働者の安全と健康の確保のため、「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が平成26年6月25日に公布されました。それに伴い、平成28年6月から事業場における一定の危険有害性のある化学物質(640物質)についてリスクアセスメントが義務付けられました。
リスクアセスメントとは?
化学物質やその製剤の持つ危険性や有害性を特定し、それによる労働者への危険または健康障害を
生じる恐れの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討すること。
対象となる事業場は?
業種、事業場規模にかかわらず対象となる化学物質の製造・取り扱いを行うすべての事業場が対象となります。
リスクアセスメントの実施義務の対象物質は?
対象は安全データシート(SDS)の交付義務の対象である640物質です。
事業場で取り扱っている製品に含まれていないか確認してみましょう。
640物質は以下のサイトで確認できます。この640物質にトルエンやキシレンなどのVOC物質も含まれています。